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「なぁ、現文の課題やったか?」
「うん、一応」
「見せてくれ」
「えー」
「昨日某エロゲやってて忘れた」
「構わないけど…条件」
またか…と思った祐司は一応条件を聞く。
「感想教えて」
「…はいはい」
祐司は面倒臭そうに応えて太陽から課題のプリントを受け取って書き写す。こういう時は毎回プレイしたエロゲの感想を求められる。何故だか前に本人に聞いた事があるが、知らない世界観を知りたいらしい。
「…で、今回はどういうのやったの?」
「製作会社が日本語に直訳すると『鍵』で、主人公の仲間のリーダーが『そうだ、野球をしよう』って行って始まるヤツ」
「何その鉄道会社みたいなノリ」
「実際そうだしな」
「どんなストーリー?」
「じゃあメインのキャラの話になるか」
祐司は自分の出来る範囲で説明した。そのキャラの特徴、最初の2回攻略しないといけない事、それがBAD ENDだという事、その後に出てくるもう一つのストーリーでボロ泣きした事などをそれなりに詳しく説明した。
「へぇ~、面白そうだねっ」
「お前毎回そう言うけど『やった』なんて一言も聞いた事ないぞ」
「『面白い』のはゲームじゃなくて、それをやって泣いてる祐司の事」
「メチャクチャ爽やかな笑顔でさらりとドS発言しないようにね。銀河美少年ならぬ太陽鬼畜少年」
「? どういう意味?」
キョトンとして訳がわからないと言いたげな太陽の顔を見て祐司はプリントの端にサササッとある文字を書いて読むように促す。
「…颯爽…登場…?」
「もっとハッキリ、言い切った感じに」
「颯爽登場!」
「うん、そっくり」
「何に!?」
これが普段の祐司と太陽のやり取り。祐司がそっち側の豊富な知識からネタを引っ張り出してそれについていけない太陽の困り顔を祐司は密かに楽しんでいる。
祐司も太陽には劣るがそれなりに顔が良いので女子生徒からの人気はある(本人自覚なし)。しかも、祐司がヲタクである事はある程度有名で、祐司に近付く為にそっちの道に走って祐司にアタックを仕掛けるが、多くの女子生徒は玉砕される。
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