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例えば、先週2―4の女子生徒が話し掛けた時はこうだ。
『あのー…戸松君、けい◯ん!って知ってる?』
『ああ、知ってるけど』
『アレってさ、結構緩やかな感じが良いんだけど、戸松君はどう思う?』
『俺? あんま好きじゃない』
『そ、そうなんだ…』
(戸松君なら絶対好きだと思ったのに)
『内容も声優も良いけどあそこまで売れると思わなかったし、今でも思ってない。まぁ、アレしかまともに知らないにわか厨坊共が信者と化して色々やってんだろうけど』
『ふ、ふぅん…。そんな人達が…』
(ひ、ひぇ~…。何言ってるかわかんない~…)
『声優だって豊◯さんだったら超電◯砲初◯の方が良いし、日◯さんだったら生徒会◯員共のシ◯会長の方が良いし…。まぁ、あの◯ノ会長とア◯アの下ネタは吹いたな。け◯おん!でいう律っちゃんと澪とは思えなかったよな。あははは。あ、ちなみに◯春はキャラそのものが良いんだからな。俺は超◯磁砲より本編派だし、超電磁◯はラブコメが強くてダメだ』
(も、もうダメ~…ついていけない~……)
…と、まぁこんな感じで祐司によって撃墜される。未だかつて、祐司の話についていけた女子生徒は一人しかいない。言わなくてもわかるだろう。今頃祐司に会えずに拗ねているはず。
「…今日は帰ったらスパ◯ボαでもやっかなぁ…」
「…祐司ぃ~…何してるかな~」
2限目と3限目の間の休憩時間。由美は自分の机に突っ伏している。由美の席は廊下側の列の真ん中。頭の中は祐司でいっぱい。祐司が笑っている、祐司が勉強している、祐司が居眠りをしている、祐司が外を眺めている。どんな姿でも想像できる。
「祐司ぃ~」
「──あ、祐くん来た」
「嘘!?」
由美はガバッと起き上がって教室を見渡す。しかし。いるのはクラスメイトだし、他クラスの生徒がいても何故だか1組の生徒だけがいない。目の前には、前の席の椅子に座りながら苦笑を浮かべるゆかながいる。
「冗談だよ。そこまで反応されるとさすがに…」
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