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「もうー、ひどいよゆかな」
由美はぶうっと頬を膨らませる。しかし、それが可愛らしい為、教室にいる男子生徒を和ませてしまっている。由美本人に自覚はない。
「確かに祐くんじゃないけど、兄離れしたら?」
「嫌っ! あたし。祐司がいないと生きていけないもんっ」
「堂々と宣言しないのっ」
「抱き着くとしっかり受け止めてくれる祐司の胸…。後ろからだとたくましくあたしを守ってくれる祐司の背中…。弄ると子供みたいに反応する祐司の耳…。寝る時に枕にすると安心して眠れる祐司の腕…。えへへぇ~」
尋常じゃないほどににやけが止まらない由美。彼女の頭の中は祐司の妄想でピンク色に染め上げられている。ハイテンションの塊のようなゆかなさえも、今の状態の由美を見るとテンションが下がる。
一応、由美の祐司LOVEの事は様々な方向に知られている。しかし、由美本人は『LIKEでもありLOVEでもあるの!』と公言している。
「それで、何でゆーちゃんは祐くんにベッタリなの? 私が一緒に遊ぶようになった頃には既にベッタリだったし」
「あたしいじめられっ子だったから。あたしがいじめられてるといつも祐司が助けてくれた。『ヒーロー見参っ!』って」
「その頃から厨二病の兆候あったんだ」
ゆかなの反応に「そっち!?」と予想しなかったツッコミを入れつつも、由美は話を続ける。
「それが繰り返されるうちに、あたしの中で祐司がかっこよくなってきて…。まるで、禁書◯録の上◯さんみたいだった!」
「結局そっちの思考に走るのはそっくりだねっ!」
「えへへ~」
「いや、褒めてないし」
ハァ…と溜め息をついてゆかなは由美を見る。ちなみにゆかなも多少そっち側の知識がある。
ゆかなはこの場合を祐司に置き換えてみる。
『誰かの危機二必ずと言って良いほどの確率で現れる美少女ヒーロー…。2人から最大6人のシリーズがある今や小さな女の子の憧れの存在だ。ちなみに俺はMAX He◯rtが好きだな。OPが初代とほぼ同じなんだが歌詞と歌詞の間に(ry』
長くなりそうだから中断した。
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