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真貴は、廊下を歩いていく時に、ふと目立つ生徒に目をやった。
まわりは髪を染めているため、ひときわ目立つ黒髪の生徒。真太だ。
「あれ?信…」
だが、信人は3年のクラスには、めったに来ない。
(あ…人違いか。背の高さが少し低いよな?)
その翌日、再び真貴が廊下を歩いていく。
「あれ?あっ!違う…」
すぐに別の人物だと気づいたが、なぜか気になる生徒。
一方、真太は、初めは真貴には気づかないでいたが
何度も真貴の「あっ…違う」を耳にしたため
次第に、声の主を探すようになった。
そんなある日、真貴の方から、真太に声をかけた。
真太が1人でいたからだ。
「あの…ちょっといいかな?」
「はい?あれ?君は…」
声を聞き、真太はピンときた。
「オレ、羽田 真貴っていうんだ。実は、君の姿がオレのツレに似てて…」
「あっ、それで…僕は、千葉 真太」
これが、2人ともが相手を認識した時だった。
それから、真貴は真太に話をするようになっていた。もちろん、恋心はない。
真貴は、信人が好きだから。
だが…話をするうちに、真貴は、信人に似た真太が気になり始めた。
だが、「オレには信人がいるじゃないか!」と自分に言い聞かせていた。
信人に、悪い部分など無かったから。
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