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敬一はこの美女、言葉使いが古風だなあと思ったが、最後の言葉に引っかかった。
(何だよ…地獄の底までって…?縁起でもない事を…)
何か嫌な予感を覚える敬一だった。
どうせ聞いても答えてくれそうにないので、高級車の乗り心地を楽しむ事にする。
さすがに高級車(車に疎いので名前は知らない)殆ど振動も無く、滑る様に走る。
その内敬一はおかしな事に気が付いた。
夜遅くとはいえ都心部を走っている筈が、さっきから一度も信号にも捕まらず、他の車の姿もあまり見ない。
まるでこの車が走る為に規制でもされている様だった。
(…まさかな……)
敬一は浮かんだ考えを笑い飛ばす。そうこうしている内に、車はかなりの距離を走った様だ。
「間も無く目的地に到着します」
美女がシートで緊張感無くのんべんだらり状態の敬一に声を掛けてきた。
敬一は正面に見えて来た大きな建物に目をやる。
はて…何処かで見た気がすると、眠た気な目で建物を更に見たその目がパッチリと見開かれた。
車はその建物の大きな門(守衛付き)をフリーパスで素通りし、広い建物内に入る。
敬一はあんぐりと間抜けに口を開けた。
『国会議事堂』であった。
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