この手は絶対に離さない!

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ちょっと腹が立つ。 なぜ、大型肉食獣を狩る事=女の子のパンツという等式が成り立つんだよ。 一発、変態の顔に拳を振り下ろそうか、どうしようか……と本気で考え出した。その時だった。 一人の少女が木々の向こうから現れた。 露出の多い黒い衣装を身にまとった、ウサギのような赤い目に涙を浮かべた少女。 サイドで結んだ色素の濃い黒い髪を揺らしながら、細く滑らかな矮躯を必死に動かし、助けを呼びながら樹木の中を走ってくる。 「どうしたんですかー!」 変態が草陰から顔を出し少女に質問を投げかける。 適切な判断だと思うが、残念な事にその必要なかった。 背丈が周囲の木々より遥かに高く、残念ながらオレ達が必死に仕掛けた小型の落とし穴には万一にも引っ掛からんだろう。 身体は頑丈であろう毒々しい緑の鱗に守られ、人外にしては珍しく二足歩行している『飛竜』。 ソイツが木々を薙ぎ倒し、口からは涎を撒き散らしながら現れたのである。 どうやら、ゴスロリ少女はその飛竜に追われているようだ。
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