この手は絶対に離さない!

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ん? ……おい。ヤバくね? 少女は助けを求めて俺達に向かって走ってくる。んで、その後ろには飛竜が……。 オレは慌てて拳を構える。気を抜いている場合じゃねーよな。痛いのは嫌だし。喰われるのはもっと嫌だからな。 お前ら、一緒にあの飛竜を向かい討つぞ! そう啖呵を切ろうとして気付いた。 先程までいたはずの馬鹿野郎と変態野郎がいないのだ。彼らは既に飛竜へと走り出していたのである。 ……どうやら、何の考えもなしに飛竜と戦うつもりらしい。 万一にでも、あいつらが飛竜に勝てるのだろうか。いや、勝てないだろう。と、反語を使って強調しておく。 だからと言って助けるつもりは毛頭ない。 冒険者が一対一の戦いを望んでいるのに無断で他者が狩るのは<横狩>りと言われるマナー違反になるからだ。 「勝てるか、負けるか……そんなんじゃない! ボクは英雄になるために戦うんだ!」 馬鹿野郎が自分に言い聞かせるかの如く叫ぶ。 ああ、そうかい。最高に冷たい視線で応援してやるよ。
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