Shall We Dance?

2/5
1784人が本棚に入れています
本棚に追加
/450ページ
誰にでも、子供の頃の楽しい思い出があるはずだ。 オレとてそれは例外ではなく、今でもふと思い出す事がある。 晴れた日の深緑の森の事だった。 昨日降った雨の雫が日の光に照らされ眩しく輝いている中を、親父に連れられて、自由奔放に駆け回ったのを今でも覚えている。 人外の鳴き声を聞く度に、親父の後ろで震えたっけな。 親父はそんなオレを、いつもいつも豪快に笑い飛ばしながら、「安心しろ」って言ってくれていた。 いつもそんな親父を尊敬し慕っていたのは言うまでもないだろう。 しかし。そこで、ちょっとした事件が起きた。 ちょっとした不注意で木の根に足をぶつけ、無様に勢いよく前のめりに転んじまったのだ。 「大丈夫か?」 普段は見せない心配そうな顔を親父はオレに向ける。
/450ページ

最初のコメントを投稿しよう!