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来るべき衝撃に耐える為、手を顔の前でクロスさせる。突発的な動作で全く安定していない構えだが、文句を垂れてる暇は無かった。
そして、予想通り。
火球はオレに直撃した。炎の塊がオレの身体を包み込まん、という勢いで燃え上がる。
衝撃。それが熱よりも先に身体を襲った。強く閉じた目に涙が浮かぶ。だが、悲しい事に相手は攻撃の手を止めるつもりは無いようだ。
翼を大きくはばたかせ、突風を生み出してきやがった。
オレの身体は勢いよく吹き飛ばされ――風を切り――音すら置いてきぼりにして――数拍の後に硬い大木に強く打ち付けられる。
「クソっ……!」
オレは痛みを堪えて立ち上がる。
吹き飛ばされた時に火は掻き消されたらしく、身体は思いのほか無事である。
「決定」
フルボッコの刑に処してやる。
「うらぁぁあああ!」
オレは土を蹴り一気に飛翔。踏み込む度に上がる土埃を背に一直線に走り出す。
同時に、複数の火球が飛竜の口から放たれた。
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