この手は絶対に離さない!

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「くっ……!」 オレは恐怖を殺し、一つ一つの火球を寸前で避ける。熱が身体を焼くが、構ってる暇はない。足を止めず行く。 次に迫ってきたのは飛竜が翼で薙ぎ払う事によって生まれた強靭なる風。当たれば体を綺麗に切断してくれるに違いないそれを勘に頼って右方向へ軽く跳ぶ事によって回避。 避けられた事への怒りからか、飛竜は短く唸ると、何を思ったのか、オレに背を向けた。逃げるのかと思ったね。 が、勿論期待は外れるわけだ。 尻尾を鞭のように振るう為だった。 音を切り風を切りながら尻尾がオレに迫る。既に飛竜の懐付近に接近していたオレは、もう一度軽く跳躍。尻尾はオレを空振りし地面を打ち付け、土埃を盛大に上げる。 それを背に飛竜の正面へ回り込む。 飛竜を正面に捉えたオレの両手に魔法陣が描かれる。口元が自然と緩む。 それに対して飛竜は、口元から今までとは比べモノにならない程の光を漏らしてオレを睨み付けてくる。 どうやら相手も、これで終わりにするらしい。
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