Shall We Dance?

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「ふ、ふん! これぐらいなんともないやい!」 足からダラダラと赤黒い血が流れ出ているのに、つまんない意地を張っちまった。 「おい、そんな大怪我で」 「大丈夫だって!」 親父の言葉を遮って、オレは無理矢理立ち上がった。思い出したかのようにして、鋭くてそれでいて鈍い痛みがオレを襲う。 親父のような一流の狩人の息子がこんな事で泣いてはダメなのだ。 オレは必死に歯を食いしばった。親父は俺のそんな顔を数秒見つめた。あんな真剣な顔を俺は初めて見た。正直に言うと凄く怖かった。 「……そうか」 親父はそれだけ言うと瞬く間に締まりのない笑顔を作り、サッサと森の奥へと歩き出しちまった。
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