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彼女の顔が皺くちゃの老婆のような顔から、赤子を思わせる無邪気で元気な笑顔へと急速に変化。
「早く行きましょうよー!」
お前はお調子者かよ、と突っ込みを入れつつ、後を追う。
幸せだ。そんな事を不意にも感じた。
そんな自分がおかしくて自重気味に苦笑する。
すまんな。まだそんな気持ちを感じる心があるとは思っていなかったものでね。
あの記憶が失せない限り、オレに幸せは訪れないに違いない。出来ればあんな事は忘れちまいたいさ。……だけど、忘れていいわけがないんだ。
親父が死んだあの日の事を。
……いや、違う。訂正させてくれ。
正確には、親父を殺したあの日の事を、だな。
オレは目的地へと足を早める。
白い壁で囲まれた城。学園へ。
あの日の後悔を溜め息に乗せて……。
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