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「黒真・・準備はできたかな??」
黒いスーツを身に纏う長髪を後ろに束ねた隻眼の青年が目の前の少年に声をかける。青年の年代は二十代後半~三十代前半と年若く見え奥二重の眼が優しさを醸し出し180センチはあろうかという長身が頼もしさを感じさせる。
「親父・・もう高校生なんだから・・いちいち心配しないでも大丈夫だよ」
少年・・黒真は苦笑しながら笑う。
紺色のブレザーと愛用のiPodと愛用のバックを肩にかける。
青年・・些か父親にするには若そうな父親とは違い。黒真の容姿はまだ幼さが残るものの端正な顔立ちをしている。父親ではなく母親に似ているのだろうか。
眼はぱっちりとした二重。鼻達は高く口元は女性と見紛うほどの美しい形。中性的な美しい容姿にはきっと街の誰もが振り向くだろう。
印象的なのは東洋の人種が本来なら持ちえない紅の瞳。
その瞳には怜悧な威圧感と穏やかな暖かさが同居する。
「・・新たな学校だ。楽しむといい」
父親の言葉に黒真は苦笑すると
「今まで通りさ」
黒真はにこりと笑い
「母さんも来るんだろ??久々に一家団欒だ。姉さんも真昼と麗菜も喜ぶ」
「そうだね。マキリは仕事が忙しいから久々に手料理を僕が作ろう」
「そいつは楽しみだ」
黒真は玄関のドアを開けた。
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