零章 桜花、舞う

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(『コード』起動、  ブリリアント・ジャスティス 『白騎士の大槍』展開開始)  無機質な音声が少女の脳裏に響くと同時、データの欠片が彼女の右腕を覆う。  白線が武器のフレームを象り、直後に色と質量が与えられる。  地下迷宮を駆ける少女の右腕を、ひじの先から全て覆い尽くすような大槍が現れた。  白を基調とした槍には金の意匠が施され、薄暗い地下の空間にその輝きを示す。    槍の後部には大きな膨らみがある。機械のような重厚さを備えたそれは、まさしく『弾倉』。  しかし巨大過ぎる武器に対して、その少女はあまりに細身だった。  すらりと伸びた手足にも、筋肉質特有の膨らみはない。  将来の美貌を容易に想像させる可愛らしい唇に小さな鼻、そして少女らしい大きな瞳。桜色の長髪を後ろで束ね、背中に流す彼女を戦士と評する者は多くないだろう。
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