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だが、女は殺す気はないのか、峰打ちで浪士がうずくまってる間に女を逃がした。
しかもこいつ、わけの分からねぇことを言ってやがる。
「貴女がここにきて初めて会った人だから」
まるで、自分はここの人間じゃねぇみたいな言い方だった。
だが、浪士が復活したせいで、彼女たちの会話は終わった。
「女のくせになんで刀なんて持ってんだよ」
俺の思っていた疑問を浪士がぶつける。
「悪い?女はねえ、お人形さんじゃないんだよ?」
この言葉は、あいつの心の叫びのように聞こえた。
今までどんな扱いを受けてきたのかは想像もつかないが、よほどのことがあったんだろう。
それに、結局俺はあの浪士と同じってことか?
農民出の俺が剣を持つことに散々疎まれてきたのに、それをそれをあいつにも負わせるのか?
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