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「これですか?」 「おう、それ。あと、頼むから握ろうとしないでくれ」  外側全部刃だから。握れば確実に怪我じゃ済まなくなるから。 「これはチャクラムです」 「チャクラム?」  なんとも聞き慣れない響きの名前だ。俺的には、リングスライサーとでも名付けた方がしっくりと来る。 「これ、とても良く斬れるんですよ」 「ほ、ほう」  気のせいだろうか、“キレル”が、切れるでは無く、斬れるに聞こえた気がする。発音は全く同じなのに、包丁と刀ぐらい危険度が違う気がする。……良く考えてみたら、どっちも同じぐらい危険だ。 「試しますか?」  いやいやいやいや。「試しますか?」じゃ無いから。そんな危なそうな代物を、何使えば確かめられる。 「見ていてくださいね」  俺の混乱など露知らず、芦名ちゃんはチャクラムとやらの中心に人差し指を入れると、それをグルグルと回し始めた。尋常じゃなく鋭い音がビュンビュン聞こえてくるから、恐いったらありゃしない。けど、止めさせようとしたら、それはそれで指(下手すると手)とサヨナラしないといけなくなるので、大人しく、グルグル回るチャクラムを見る。端から見たらこの画はどう感想を持たれるんだろうか。 「行きます──!」
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