8人が本棚に入れています
本棚に追加
「これですか?」
「おう、それ。あと、頼むから握ろうとしないでくれ」
外側全部刃だから。握れば確実に怪我じゃ済まなくなるから。
「これはチャクラムです」
「チャクラム?」
なんとも聞き慣れない響きの名前だ。俺的には、リングスライサーとでも名付けた方がしっくりと来る。
「これ、とても良く斬れるんですよ」
「ほ、ほう」
気のせいだろうか、“キレル”が、切れるでは無く、斬れるに聞こえた気がする。発音は全く同じなのに、包丁と刀ぐらい危険度が違う気がする。……良く考えてみたら、どっちも同じぐらい危険だ。
「試しますか?」
いやいやいやいや。「試しますか?」じゃ無いから。そんな危なそうな代物を、何使えば確かめられる。
「見ていてくださいね」
俺の混乱など露知らず、芦名ちゃんはチャクラムとやらの中心に人差し指を入れると、それをグルグルと回し始めた。尋常じゃなく鋭い音がビュンビュン聞こえてくるから、恐いったらありゃしない。けど、止めさせようとしたら、それはそれで指(下手すると手)とサヨナラしないといけなくなるので、大人しく、グルグル回るチャクラムを見る。端から見たらこの画はどう感想を持たれるんだろうか。
「行きます──!」
最初のコメントを投稿しよう!