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「──起きてください!」 「────────!?」  突然耳元で大声を出されて、俺はベッドから転がり落ちた。  ……ベッド? 俺は普段敷き布団で寝ていたはず。と言うか、ついさっきまで、俺は自分の家の廊下を這っていたはずなんだが……。 「どこだここ?」  白いカーテンがなびく窓から見えるのは、見覚えの無い住宅地に巨大ショッピングセンター。天井も床も壁も真っ白で、これはまるで、 「ここは病院の個室か……?」  一切病室に入った事の無い俺が思い浮かべる病室が、そっくりそのまま複写された様な感じ。  何だってこんなところに俺はいるんだ……? もしも家で気を失っていて病院に運ばれたなら、こんな風にただ個室のベッドに寝かされているなんて有り得るのだろうか。普通、点滴の一つも射たれているんじゃないのか?  そんな事を考えられている辺り、俺の体調は案外もう悪くないのかもしれない。呑気にそう思いながら、床に大の字に寝そべっていると、ヒョッコリと、ベッドの上から小さい女の子が俺を覗き込んだ。 「やっと、起きましたか?」  それは、知らない俺の見た事の無い女の子だった。
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