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「……っふ……ん……」
「………はぁ……っん……」
硝子越しに伝わる互いの唇の熱
舌を絡ませている訳でもないのに、いつの間にか漏れる甘い声はいつもの様な甘い時間を過ごしているようで
それなのに
相手の指を求めて硝子の上で動く互いの手は恒久の闇を、さ迷っているかのようで
相対する2つの想いは
二人の目から涙となって零れ落ちる
そして、どちらともなく唇を離した、その瞬間
砂時計の砂が全て落ちた
青白い光が類の体を包み込む
最後の面会を終えた類は、これから死刑台へと向かう
誰にも見られる事のなく孤独の中で死刑は執行される
「類ッ!!!!!!!!」
オレは立ち上がって力の限り硝子を叩く
これが壊れる事ことないことくらい嫌というほど知っている
それでも叩かずにはいられなかった
「苓ッ!!!!!!!俺は苓と会って、喧嘩して、愛しあった事に一度も後悔した事ない!この国に戻って来た事も後悔してない!!!!!俺は『苓』という一人の人間と出会えた事を誇りに思う!!!!」
何時になく厳しい表情で叫ぶ類
「類ッ……!!!」
そして、ふと日だまりの様に笑うと
「 」
「……る、い?るい?るい、類……?………類ッ……!類ぃぃぃぃぃい!!!!!!!!!!!っぁぁあぁぁぁあぁあ!!!!!!!!!!!!!!!」
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