乙姫

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城にピンポンとチャイムがなり響いた。そのチャイムを聞いた乙姫は、「アリスだわ!」と喜ぶように言って、足早に扉の方へ向かう。その後をカメ吉が追うが、その距離は広がっていった。 乙姫がドアを開けるとアリスと、ウサギの耳のついた少女が佇んでいる。 「やっほ~」 「ぴょん!」 その二人を見た乙姫は、驚いた様子で尋ねた。 「アリス・・・その娘は?」 「ぴょん子だよ。最近出来たお友達なの。乙姫も仲良くしてね」 「ぴょん!」 「そうだったの。宜しくね。ぴょん子」 「ぴょん!」 乙姫がしゃがみ込み、ぴょん子と握手をする。カメ吉はその様子を眺めていた。 乙姫に友達が増えたのは非常に喜ばしい事だったのだが、何か釈然としなかった。 カメ吉はぴょん子を見て何かを感じたのである。 それは、勿論恋心などでは無かった。 何か因縁の様なものをカメ吉はぴょん子に感じ取ったのである。 「この子、カメ吉っていうの。仲良くしてね。ぴょん子」 カメ吉が紹介される。睨みつけ、握手の際に丸い手をおもいっきり握りしめた。 然し、ぴょん子はオリハルコンで出来ているため、逆にカメ吉の方が痛みを感じた。 コイツ、やるなカメ! とカメ吉は何故かライバル心を燃やしたのである。 一方のぴょん子は判然としない様子で、「ぴょん?」と言って首を傾げていた。
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