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「そっか、それは困ったね」
そんな子供を見て、彼は優しい声で慰めるようにそう言うとチラリと目線を横に向け、花束や何かのおもちゃやぬいぐるみが置かれている場所を見て目を細めるともう一度笑顔を作りながら小さな子供に目線を向けた
「ねぇ、お兄ちゃんと少しお話をしない?」
『おは…なし?…グスッ』
「そう、お話」
彼の言葉を聞いて小さな子供は目をこすりながらそう言うと彼はうんと頷き会話を続けた
「まず…そうだな、君の名前を教えてくれないかな?」
『…名…前?』
彼の言葉に小さな子供小首を傾げながらそう呟き、少し考えるそぶりを見せると彼を見て小さく口を開いた
『……りょうた…、いがらしりょうた』
「いがらし りょうた君か、いいお名前だね。それじゃありょうた君、りょうた君はいつ頃からここにいるのかな?」
『えっと…多分二日前…』
彼の質問にりょうたと名乗った子供は思い出すようにそう言うとそれを聞いた彼は成る程、とポケットから手帳を取り出しながらそう呟き、ページをパラパラとめくるとページをめくる手を止め、やっぱり、と声を漏らした
『どうしたの?お兄ちゃん?』
そんな彼を見て、りょうたは心配そうな顔でそう言うと彼は手帳をしまい、真面目な顔立ちで迷い無く、口を開いた
「りょうた君、気を確かにもって聞いて欲しい。残念だけど君は…二日前ここで起きたひき逃げ事件の被害者だ、五十嵐亮太と言う子供はもう死んでいる」
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