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「自分で行けよ」
「今すげー良いとこなの。お前、ぼけーっとして一番暇そうじゃん」
俺はぐるりと室内を見渡した。
春休みの美術室は、人は少ない。
皆まじめにキャンバスに向かって絵を描いている。
俺は、ひとつため息をつく。
「これでも忙しいんだっつーのっ。自分で行け」
そういってみたが、小宮山は微動だにせず、同じ体勢で、本を読み続けた。
俺は、再び小さくため息をし、小宮山に背を向けた。
勿論、背後で小宮山が動く気配はない。
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