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「ふむ、あの重症だ。体調不良程度で済んだのが奇跡だな」
「重症?」
なんのことだろう?
身に覚えがない。
私は――――
私は?
「さて、目が覚めた所で教えて貰おうか。君の名前は?」
「私……は……」
誰だ?
「………無理もない」
筋肉達磨が部屋の電気を消した。
それに連動してか白い部屋のカーテンが閉まっていく。
余程分厚いのか、完全にカーテンが閉まると部屋は真っ暗になった。
そして何か紙のような物……、レントゲン写真だ。
それを筋肉達磨は光射機にかざした。
「君の頭蓋骨のレントゲン写真だ」
「え、これだって」
有り得ない。
だって、人間は頭蓋骨が半分も吹き飛んだりしたら―――。
「不幸中の幸い、と言って良いものか」
筋肉達磨は客観的に、一医師としての所見を告げていく。
「頭蓋に一撃。それ以前に心臓、腎臓など多臓器に渡って損傷。
どれも致命傷だ。君は戦闘に巻き込まれたらしい。他にも、身体を炎に焼かれて半身が崩れていた」
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