プロローグ

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え、じゃあ私は……? 「奇跡、だ。即死級の致命傷を受け、炎に焼かれてなお君が生きていたこと。 ワタシが医師で、完全な移動設備を持ちたまたま通りがかり、間に合ったこと。全てが奇跡の様な確率だ」 私は、私の、私が……死んで。 「君の身体は使い物にならなかった。辛うじて残っていた脳髄を機械の身体に移植した。何か質問は?」 「わた、私はっ」 何から聞けばいい? 「私はっ……死んだ?」 私は自分の吐いた言葉に震えた。 「肉体的には完全に死んでいる。脳は記憶を司る記憶野を大きく抉りとられていた。恐らく人格も変わっている筈だ」 「移植って私の身体はっ?」 「処分した。……見ない方がいい。肉の塊ですらない」 「じゃ、じゃあこの身体はっ」 「制作途中だった高航空作業用のアンドロイドに脳髄を移植した。文句は無しだ。一番生身に近いアンドロイドの身体だったんだ」
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