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「え、う……あ」
何を、聞けば良いのだろう。
ああそうだ。
これだけは聞いておかないと。
私は………。
「私は、誰だ?」
「………顔は崩れていたし、身分を示す物は全て焼けていた。お手上げだ。指紋も駄目だった。
歯の治療歴もなし。まさしく『ジェーン・ドゥ』、身元不明死体だ」
息が、できない……。
「で、でもほらっ。息っ。息してっ」
嘘だ。
私が死んだなんて。
「人間の生理機能は大抵可能だ。そうしなければ精神的に脳が新しい身体を受け入れない」
「――――――」
……………
…………
………
……
「どうする?」
「え?」
筋肉達磨は私が寝かされていたベッドの脇に設置していた装置に手をやった。
どうやら私の生命維持装置らしい。
その指先に小さな赤いスイッチ。
「このスイッチを切れば君の生命維持は途絶えて元の死体に戻る。君は死ねるんだ」
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