プロローグ

7/41
前へ
/58ページ
次へ
そうだ。そうだそうだっ。 「……解った」 筋肉達磨はそう言ってスイッチから手を離した。 「改めて、ドクター・アカマツだ」 筋肉達磨、アカマツはそう言って私に手を差し出した。 「ドク(医者)?その身体で?」 「ああ、こんな身体だが奇跡を起こす程度には腕が達つつもりだ」 アカマツはそう言って笑った。 「変なの」 私も思わず薄く笑ってしまった。 「ジェーン・ドゥよ。名前も思い出せないから」 私はアカマツの手を、身体の割りに細い指だ―――を握り返す。 「焦らなくていい。今は術後間もない。当分ユックリと養生したまえ」 アカマツは席を立つ。 「ありがとう」 私は知らずにそう言っていた。 「………」 もう背を向けていたアカマツは驚いた様に振り向く。 「どう、いたしまして」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

210人が本棚に入れています
本棚に追加