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パンドラは幸せな日常を送ってはいたが、“あの箱”がどうしても気になっていた。そしてある日、彼女はゼウスから貰った箱を開けてしまう。
中から飛び出したのは、それまでこの世界には存在しなかった「病気」や「不安」、「殺意」、「嫉妬」。他にも数多くの「負の概念」だったのだ。瞬く間にそれらは世界を覆い、パンドラは自己嫌悪と後悔で胸がはち切れそうになる。
絶望の中、彼女が箱に目を向けると、中にはたった一つだけ、「希望」が残されていた……という話だ。
彼女が箱を開けていなければ、毎日のように起きる殺人や著名人の病死など、それらの現象の存在すら認識出来ず、僕らにとっては全く別次元の話であっただろう。
自分の好きな人が他の人と仲良くする光景に嫉妬を覚える事もなかったし、僕のように高校三年生になっても進路が決まらず、お先真っ暗な人生に不安を覚える事もなかった筈である。
つまり、クラスのマドンナと有名な“彼女”が、奇妙な病によって人生を狂わせられる事など、起こり得る筈がなかったのだ。
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