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静馬「なんだぁ?人がせっかく気分よく散歩してる時に」
俺は片手で頭を掻き、イラついた表情になる。
掻きむしられた茶色の髪は、ツンツンと剣山のように太陽に向かって逆立ち、普段からつり上がっている目は更に細くなり、見た目タチの悪そうなチンピラ風になる。
男A「いいじゃねぇかよ、俺らと楽しく遊ぼうぜ」
男B「そうそう、せっかくの日曜日なんだし」
声のする方を見ると、カッコ良く無いチャラ男2人が、少し茶色の混じる、背中までの黒髪に、薄手のピンク色のワンピースに、白のストールを羽織った少女に、声をかけていた。
少女「私、用事があるって言ってるじゃありませんか!」
チャラ男2人を睨みながら、少し震える声で言い放ち、二人から離れようとするが、
男A「逃がさねーよ」
少女の前に回り込み、腕を強めに掴む。
静馬「………行くっきゃねぇな」
一部始終を見ていた俺は、ゆっくりとしかし確実に狩りに向かう。
その間も、少女は抵抗を続けているが、男の力に勝てない。
徐々に距離を詰める俺。
そして、
静馬「……後ろの正面、だぁあれ?」
男Bの後ろから声をかけ、同時に首に手刀を入れ、気絶させる。
男A「何しやがんだてめぇ!!」
Bがやられたことに気づいたAが、少女から手を離し、殴りかかってくる。
俺は自分に向かって放たれたAの拳を、軽く流し、鼻歌混じりに足を引っ掛けた。
男A「うおっ!」
足を引っ掛けられたAは、無抵抗にぶっ倒れ、地面と激しいキスをする。
静馬「弱っ……お話になりませんなぁ」
軽く笑い、地面に倒れた二人を見下ろす。完全に沈黙した二人からは、何の言葉も無い。
少女「あの……」
静馬「サッサと帰んな、また絡まれないうちにな」
少女「助けて頂いたお礼を……」
静馬「そんなんが欲しくて、やった訳じゃねぇから要らん」
少女の方を見ずにゆっくりと歩き出す。
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