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少女「ならばせめて!お名前だけでも、教えて下さいませんか?」
なかなか引こうしない少女が、更に声をかけてくる。
静馬「名乗る名前なんてねぇし、名乗る気もサラサラ無い」
少女「…………」
少女は俺の言葉に俯く。
静馬「まぁ敢えて言うなら」
少女「っ!はい!」
静馬「通りすがりのチンピラ。かな」
立ち止まり、首だけ動かして少女を見て、ニッと白い歯を見せて笑い、軽く手を挙げて再び歩き出した。
少女「ありがとうございました!」
そんな俺の背中に向かって、少女は頭を下げてお礼を言ってきた。
俺は振り返ること無く、何も言わずにその場を後にした。
少女「……ふふ」
俺が去った後、
少女「見つけました」
少女はポツリと、
少女「逃がしませんよ、未来の私の素敵な旦那様♪」
そう呟いて歩き出した。
この時から、
俺の中にあった大きな白紙に、
色が入り、
俺の未来が、
変わり始めたなんて、
この時の俺は、
知る由も無かった。
静馬「あ、おはぎうまそう。オジサン、おはぎ10個!」
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