最終章 【光と闇の世界】

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コンコン。 「滝川尚輝です。 失礼します」 ドアを開けると昨日の若いお兄さんと目が合った。 「昨日はありがとうございました!!」 「いや…良いけど、もしかして…」 「はい!! ビデオを見せて下さい!!」 「やっぱり…」 あからさまに嫌な顔をした。 「すみません。 一度気になるとどうしても解決するまでモヤモヤしちゃって」 「じゃあ座って」 「ありがとうございます!!」 「俺は他に調べることがあるから、これリモコンね。 自分で操作して適当に見てて」 「ありがとうございます!! あっ…それとすみません。 あのビデオカメラ、どこの国で何年に製造されたか調べてもらえますか?」 「それなら調べたよ。 10年前に製造された中国製。 でも製造ナンバーは削られているし、改造されているからそれ以上はわからない」 「そうですか…ありがとうございました」 そして俺はまたモニターに釘付けになりながら、何度も同じビデオを再生した。 「あの…」 1時間位経った頃だろうか。 「何?」 「これ、もっとスローでみれませんか?」 「もっとスロー?」 「はい」 「じゃあ、こっちの機械使って。 ここで速度調整できるから。 それにしても、そんなに何十回も見て、新しい何かが見つかるのかい?」 「見つけるんですよ」 俺は笑顔を見せた。
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