†第一話†

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あれから俺は、日が暮れるころに家に帰って、自分の部屋に籠もっていた。 カリカリカリカリ… 「………。」 カリカリカリカリ… 「………………。」 手を動かしてはキャンパスを眺め、また手を加える。 鉛筆は磨り減り、静かな部屋には、鉛筆で下描きをする音と、時計の針の音のみが響いている。 「……………ふぅ…。」 こんなもんだろ…。 隼人は描くのが終わったのか、椅子から立ち上がり、絵の具の準備をし始めた。 ペインティングオイル(油)を絵の具に混ぜて、 まずは黄色い絵の具に油を良く混ぜて、 薄い黄色を作り、下描きの線の上を絵の具付きの筆でなぞっていく。 そして次は色を入れ始める。 いつでも色を入れる時は緊張するな…。
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