2人が本棚に入れています
本棚に追加
日もだいぶ落ちて
みなれた町が淡い茜色にそまっていく。
俺はこの町に
小学校四年生の時に引っ越してきた。
田舎育ちの俺にとって
都会の高いビルや住宅街は
興味の的となった。
でも、そんな感情が
長続きするわけもなく
いまでは変わらぬ風景に
退屈している。
「あーつかれたつかれた。すっかり日も暮れてきたな~」
帰り道、課題を終えて
つかの間の至福の時間を満喫しながら
中田は自転車をこぐ。
「・・・」
「何だよ!無視すんなよ~」
「えっ!?ん!?あっ、、わりぃ」
別に無視したわけではない。
癖なのだ。
考え事をしているわけでもないのに
急に黙ってしまう悪い癖。
自分でも分かっているが
直そうとも思ってない。
「で、なんの話だっけ?」
特に興味もないが一応聞き返してはみる。
「もぉいいよ。別に対したこと言ってないから」
(ほらな。聞かなくても一緒じゃないか)
「それよりさ、もぉすぐ夏休みじゃんか!?柳は何か予定とかあんの!?」
(‥本当におしゃべりな奴だ)
「別に。特にないよ」
「だよな~バイトは学校側から禁止されてるし、宿題はたんまりあるだろうし、あ~何か楽しいことないかな~」
(‥お前はいつでも楽しそうじゃないか)
最初のコメントを投稿しよう!