日常

5/6
前へ
/19ページ
次へ
日もだいぶ落ちて みなれた町が淡い茜色にそまっていく。 俺はこの町に 小学校四年生の時に引っ越してきた。 田舎育ちの俺にとって 都会の高いビルや住宅街は 興味の的となった。 でも、そんな感情が 長続きするわけもなく いまでは変わらぬ風景に 退屈している。 「あーつかれたつかれた。すっかり日も暮れてきたな~」 帰り道、課題を終えて つかの間の至福の時間を満喫しながら 中田は自転車をこぐ。 「・・・」 「何だよ!無視すんなよ~」 「えっ!?ん!?あっ、、わりぃ」 別に無視したわけではない。 癖なのだ。 考え事をしているわけでもないのに 急に黙ってしまう悪い癖。 自分でも分かっているが 直そうとも思ってない。 「で、なんの話だっけ?」 特に興味もないが一応聞き返してはみる。 「もぉいいよ。別に対したこと言ってないから」 (ほらな。聞かなくても一緒じゃないか) 「それよりさ、もぉすぐ夏休みじゃんか!?柳は何か予定とかあんの!?」 (‥本当におしゃべりな奴だ) 「別に。特にないよ」 「だよな~バイトは学校側から禁止されてるし、宿題はたんまりあるだろうし、あ~何か楽しいことないかな~」 (‥お前はいつでも楽しそうじゃないか)
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加