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薄暗い部屋の中で、一人の青年がパソコンのディスプレイを眺めている。
眉目秀麗という言葉を具現化したような細身の青年は、黒いフード付きのコートと黒いズボンに身を包み、腕を組む。
赤い瞳は真剣にディスプレイを見つめ、冷厳な唇は固く結ばれている。
しかし、不意にクスリと笑う。
「壁男ね……。なかなか面白い都市伝説だ」
青年は艶やかな黒髪をかきあげてから目を閉じ、少しの間だけ悩む仕種を見せた。
「あの子でちょっと試してみようかな」
そう言った青年は、実に楽しそうだった。
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