いたぶられたい召還師

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「ーーーーー貴様か、私を喚んだのは」 カーテンが閉められた薄暗い部屋の中で、無数のルーン文字と図形で構成された魔法陣が、青く、幻想的に輝いている。 そして、その魔法陣の中心にふわふわと浮いている美しい悪魔のような羽を生やした女性が威圧的に俺に話しかけてきている。 「ああ、そうだ」 俺は、その言葉にクールに答えた。 「何か目的があって喚んだんだろう?」 「…そうだ。話が分かるな」 「フフ…さあ、望みを言ってみろ。叶えてやろう。…対価は貰うがな」 俺はニヤリと笑い、答える。 「俺の使い魔になってほしい」 その言葉を聞くと、女性は怪しく笑う。 「…期間は?」 「永久」 「対価は?」 「払わない」 「…何だと?」 俺の言葉に、女性はキレそうになっている。 だが俺はそんな女性を無視し、押さえていた魔力を解き放って見せた。 「…ッ」 おそらく女性は、今じりじりと実を焦がされるような身を焦がされるような感覚を味わっているのだろう。 俺の魔力に当てられた物は、大抵そうなる。 「…これでも対価をもらう気か?」 「くっ…わかった」 俺は懐から古ぼけた羊皮紙と万年筆を取り出し、女性に差し出す。 「期間は永久、立場は対等だ。名前を書け」 立場は対等、という条件を聞き、女性は少し驚いた表情をしたが、素直に羊皮紙に名前を書き、俺に差し出した。 俺は差し出された羊皮紙に書かれた名前を読み上げる。 「妖魔、サキュバス」 そして、俺はカッコ良くこう言った。 「契約、完了」 その言葉を言い終えると同時に、魔法陣が音もなく消えた。 後に残ったのは、悪魔のような羽を生やした女性のみ。 「さて、サキュバス。早速お願いがあるんだが」 「…言ってみろ」 ちょっと前に力の差を見せつけたにも関わらず、サキュバスはえらそうな口調を崩さない。 最高だ。 「サキュバス、お前に…いたぶられたい」 「…は?」 俺は無言で部屋の片隅を指さした。 そこにある物は… 鞭、蝋燭、三角木馬、重り、縄、その他各種拘束具。 「さあ、さあ!早く!ハリィィィィィ!!!」 興奮が止まらない。早くこの強気なサキュバスにいたぶられたい。その一心で俺は叫んだ。 そんな俺をみてサキュバスは一言呟いた。 「…帰っていいか?」
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