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「よいしょっとー」
楽々と倒れた2人を持ち上げた男。両肩に担ぎ上げる。
「お前……何者だよ」
「俺は罵喰だよー。じゃーなー死に損なーい」
罵喰(バク)、それは文字通りの異形。遥か高みに位置する化け物の名前であった。
しばらく面食らって動けなかった菅原と昴。
やがてハヤテの元へと寄った。
「仕方ないがコイツだけでも連れて帰るか……」
菅原は応急措置だけ済まし、やや乱暴にハヤテを担ぎ上げた。
全く動く気配のないハヤテ。
引かない悪寒。
「くそっ。やることが増えちまったな」
菅原は笑っていた。
「クッハッハッ!! ハハッ!! やべぇ……次会った時はぶっ倒してやるよっ!!」
その声が、果たして響きの良い廃墟にて、罵喰へと届いたかは甚だ疑問ではあるが、昴の背を思い切り叩いた菅原にはどこか自信が溢れていた。
そして、数奇な運命の歯車は……ここから、回り始めた。
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