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「あ……うぐ……ごぉぇっ!?」
嘔吐に次ぐ嘔吐。
そしてそのまま昴は、怯みつつも唖然としているアインスへと突進。
更に殴ると見せ掛け……スライディング。
本能的なアインスによる顔面攻撃を冷静にかわし、そのままの勢いで巴投げ。
投げた先には既に菅原がメリケンを構えていた。
「アデュー、良い夢見ろよ」
アインスの意識も、そこで途絶えた。
「つかアイツ誰だ?」
昴は捨てられたハヤテを指差す。
「良いんじゃね? 放っときゃ死ぬだろ」
どう見ても仲間には見えない。
が
「でも多分コイツらにやられたんだろうな」
ということは
情報源。
「サンプルにして持って帰りたかったんだがな……まぁこの犬と虫は殺しとくか」
メリケンをその顔面に向けかざした瞬間、衝撃的な程の悪寒。
「駄目じゃないですか殺しちゃー」
「う……」
今度は、あからさまに、文字通りの人間離れ。
頭に包帯を巻き、顔面の右半分は見たこともないようなものであった。
「そいつらはさー俺の弟なんだよー。殺されちゃったら悲しむかなー」
アインスもドライもツヴァイでさえも、見た目はほぼ完全な人間。ただしどこか人間以外の能力を持っていた。
しかしこの目の前に居る者は、見た目からして、人間とは言い難かった。身体中に縫い傷。
直視出来ない冷たい眼差し。
「そっちの死にかけのと君達の命はあげるからさー。こっちの死にかけの弟達と交換してよー」
あらかじめ頭数としては死人としてカウントされた菅原達。
あらかたその表現は間違ってはいなかった。
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