生物兵器達の成れの果て

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数日が経ち。 …………………………………… 柊人の精神は、もう限界だった。 周りには常に無条件で人が居た。今居るのは無情な人のみ。 最初は女子。 何故か周りに来なくなった。 次に男子。授業中に笑い声。自分の持ち物があらぬ場所へと。 そして女子も慣れてきたのか。 先輩。 極めつけは、教師。 全てが、柊人を精神的に追い詰めていく。 この学校は、気付かぬ内に、橋本恭子が牛耳っていた。 今や周りは柊人の敵ばかり。 始めの内は皆ぎこちなかったのにも関わらず、集団心理の恐ろしさがすぐに牙を向く。 最近、海斗の姿が何故かない。 不審に思う余裕もない。 何故? ことごとく信じていた人に裏切られるのか。 最初は理由も分からないでいたが、柊人は気付く。 「アァァァノォォォヤァァァロォォォォォォォ!!!!!!」 授業中にも関わらず、柊人は吠えた。 探し出す。あの男を。 「やぁ」 意外にもすぐに、ソイツは見つかった。 「自己紹介がまだだったね。柊人君」 柊人がそのクラスに入った瞬間、空気が変わる。 罪悪感は確かにある。 だが、この男には逆らえない。 柊人を上回る人望。 男を魅了し、金の力で思いのままの行動をするきょん。 弱者を恐喝する不良。 女子を魅了するこの男。 簡単に、学校は乗っ取られていた。まだ高校一年でしかない男女達に。 「僕の名前は、夕凪咲哉」 夕凪咲哉(ユウナギ サクヤ)は爽やかな笑顔を柊人に向け続けた。
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