534人が本棚に入れています
本棚に追加
海斗は、なるべく事細かに打ち伝えた。
何故、生きる希望を失ったのか。
惚れていた人間に、ストーカー呼ばわりされた挙げ句、夢と外見を奪われたというショック、高校一年生にとっては耐えられるものではない。
『では、あなたに適切な指示を出します。あまり人様に迷惑を掛けない方法が良いでしょう。あなたは家族とかに迷惑を掛けるつもりはないのでしょう』
(はは……す……げぇ)
『今、御自宅にあなたの他に誰か居ますか?』
「1人になりたいっつって追い出した」
掲示板でのやり取り。
相手のハンドルネームは死神。
海斗のハンドルネームはkaito。
『最期の地は何処を望みますか?』
少し考え込む。
長身な長針が調子付き、忙しく働く。
「余計に捜索されるよりはマシだろ。家で安らかに眠るよ」
『了解しました』
「おつかれさん」
取ってきた包丁が怪しく笑っている。
『さようなら』
とくん、胸が脈打つ。
そっと、ナイフが添えられていく。
海斗の目は虚ろ。
『もう引き返せないよ』
さながらヤク漬けにされた状態。
「ピンポーン」
絶妙なタイミングのインターホンが、海斗の動きを抑制することは……なかった。
最初のコメントを投稿しよう!