生物兵器達の成れの果て

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「こっちは……もしかしたらダメかもしれないぞ……」 「そうか……くそ、やはりここまで万全を期しても」 (あれは……なんだ? 俺とは違う生き物かな? でも似てる……) 「まぁ良いだろう。早速身体能力を測ってみよう」 とても乗り気な医者もどき達。 男は、もう1人の物体を見たとき明らかな違和感と不快感を共に覚えた。 (なんなんだよ……クソッ!!) なにも思い出せないもどかしさ。 「ほら、立て」 人形のように、足がもつれる。 「歩け」 バランスが取れずに転ぶ。 「もしかして……運動能力が完全退化した可能性も」 医者もどき達は子どものように慌て出す。 (忙しい奴らだな) アイデンティティーは消滅したものの、意識は持ち合わせている様子。 「ほら、ここだ」 それは、広大な水の歌い場……プール。 (ぐ……頭が……) 思い出しそうで思い出せない不思議なヴィジョンが心をくすぐる。 「おら」 突き落とされる。 溺れかけ 思い出しそうになる。 「やっぱりダメか……取り敢えず基礎運動能力から測定していこう」 またすぐに連行される男。 不自由な身体で、ささやかな抵抗を示した。 (あ……まだあそこに居たい) 無情にも引き剥がされる。
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