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「ダメか……まるで使い物にならん。誰だよすぐに回復するとか言った奴は?」
基礎運動能力さえも著しく低下。
「なら最後の手段だ。生物としての本能をくすぐってやろう」
「あの部屋か?」
医者もどき達はざわめく。
「お前あの少年のようにコイツも壊れちまうぞ?」
男はと言うと……。
先ほど見た人間の様な物体とプールでの記憶とじゃれあっていた。
「野生の本能……取り戻してみろ」
近しい表現をすれば拷問部屋。
血が壁や床へと媚びり付き、異臭を放つ。
しかしこの臭いも男を懐かしませるものとなった。
塩素の臭いと血の臭いが重なる。
「そうだな……記憶もくすぐってやろうか」
医者もどきの1人が唐突な提案を出し、一瞬場が盛り上がる。
「あの元人間の奮闘記を同時に目の前のモニターで見せてやろう」
それは先ほどオペ室で見た残骸の一昔前の姿。
「アアアアッ!?!?!?」
強烈なフラッシュバック。
名付けようのない記憶。
「お!? 反応しているぞ!?」
「始めろ」
全自動式カラクリ拷問部屋が、作動した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
叫ぶ男。目覚めて初めて感じた恐怖。
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