巡る歪み廻れ廻れ

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「菅原優雅のハイパー探偵ターイィィムゥゥゥ!!!! ぱふぅぱふぅ」 空気が凍った。 昴の最強魔法が、文句無しにピリピリとした空気を破壊した。 「うぉぉぉぉみなぎってきたぁぁぁぁぁ!!!! これやんなきゃテンション上がんねんだわ」 口火を切った昴に続き、何故かみなぎる菅原。 「死ね!!」 昴だけでないのだ……そう言ったのは。 「まぁいいお前らも落ち着いて聞け」 探偵という言葉を何故知っているか? そんなものは当然、菅原とその弟子だからに決まっている。 「まず、恐らく、俺らが入った瞬間に攻撃してきた。あれは待ち伏せだろ?」 「だからどうした?」 「俺達の侵入に予め気付いていてなおかつ油断をしていた」 「ふむふむ、それで?」 昴は、どこからか取り出したパイプくわえて相槌を打つ。なんとも腹立たしい2人である。到底命を賭けているとは思えない。 「そんなミス……今までのやり取りで分析したお前らの性格と能力からすりゃ、あり得ねぇんだよ。だからだ……君達はもしかして、監視カメラのようなもので見ていたのではないかね?」 咄嗟に口調を変える菅原。ボロが出まくりである。 「また、お前。指示する立場や人間の皮を被るといったことから、お前の本質は直接的な戦闘ではなく、どこか互いに弱点をカバーしあっているようにも、そんな戦い方であると見受けられる」 「ふぅーん、それで?」 好戦的な笑みに対し、菅原は満面の笑みで返した。 「収束、昆虫、メリケン。そしてこれらの事実と言動から導かれる答え……」 「お!? お!?!?」 昴は紙吹雪をはらはらとひたすらに投げている。 「結論にはまだ至ってない!!―― 「面白いなお前、思わず聞き入っちまったよ。普通ならさっきの沈黙の間には死んでるぜ? 教えてやるよ。複眼だ。俺は全てが見えているのさ」 ――そう、俺の推理から導かれた結果。奴の能力は複眼だ!!」 (フッ、決まった) これぞ究極の中の究極、メリケンクオリティ。
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