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-「はぁっ!!」
俺は一気にアルビオの懐に潜り込み、拳を叩き込もうとする。
「あン?そんなもんあたるかってんだよォ!!」
そう言ってアルビオは上へ飛び上がり避ける。そしてそのままアルビオは槍の先端を翔也のいる下へと向ける。
「がら空きだ、ガキが」
そのまま一気に降下してくるアルビオの槍の先には、冷気がまとわりついていた。
俺はとっさに横へと避けた。が、
「ぐぁあああ!?」
その冷気を纏う槍が地面へと激突した瞬間、その冷気が弾け飛び、小さな氷の塊となって俺の体に突き刺さったからだ。
俺は痛みを堪えながら体を起こす。
「ほぅ、中々やるじゃねぇかクソガキ。だが、まだまだだな」
「そうかよ。お前こそ、昔とはまるで別人じゃねぇか」
昔と比べてまるで強さが違う。俺があの時に見たコイツはここまでの力は持っていなかった。
「そりゃそうだ。あの日やられた時から俺はさらに強くなるためにひたすらに己を強化してきたんだからな」
あの日から己の弱さに気付き、力をひたすら求めてきた、か…
まるで、
「俺だな…」
己の弱さを悔いていたのはどうやら俺や建宮さんだけでは無かったようだ。
根っこの部分は全く違うだろうが。
「俺だってあの日、己の弱さに悔いて今まで頑張ってきたんだ。こんな所で負ける訳にはいかねぇんだよ!!」
俺は叫び声をあげ、再びアルビオへと駆け出した。
「ワンパターンだな。そんなんじゃ俺には勝てねぇよ」
そう言い、アルビオは槍を翔也に向けて構え、一気に放ってきた。
「氷百槍(ハンドレット・アイススピア)!!」
魔術によって冷気を纏う槍で翔也に向かって高速で突きを繰り出す。
そのスピードに、翔也はついていけずに百もの槍の雨が翔也を襲った。
そして、翔也は遠くへ吹き飛ばされる。
「く、そ、…」
翔也はボロボロの体に無理やりに力を入れ、立ち上がる。
そんな翔也を見ながら、アルビオは寂しげな表情と共に告げる。
「本当に、残念だよ、涼風翔也。だが、サヨナラだ」
そう言って、アルビオは唱える。翔也(えもの)を殺す為の魔術を。
「永久なる氷よ、その力にて罪深き人間を捕らえよ-」
翔也が、動こうとする。が、
「-『氷の処女(アイス・メイデン)』…」
そう唱えた瞬間、翔也は無数の氷の槍にて貫かれた-
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