335人が本棚に入れています
本棚に追加
-無数の氷の槍に貫かれた翔也は、地面に崩れ落ちた。
そんな少年の姿を見届けて、アルビオは小さく呟いた。
「オメェが強さなんか求めなけりゃ、こんな事には…」
アルビオは、口ではあんな風に言っているが人を殺す事はあまり良く思っていなかった。
しかも相手はまだ高校生で、これからだって年の少年なのだから。
その上、この少年の兄であろう人物をも、過去に己の手で殺めてしまったのだ。皮肉な事に。
そんな事を考えながら、アルビオはもう一度、遠くの地面に倒れている少年を見た。
「本当に、残念だよ。そして、すまなかったな…」
そう言ってアルビオはその場から離れようとする。
だが、そのアルビオの足がふと止まった。
「今、あのガキ動かなかったか…?」
そして、
「…、待て、よ」
その少年の口が動いた。
「おいおい、お願いだからよォ、俺にもうお前を傷つけさせないでくれよォ…」
そういうアルビオの顔には、辛さだけがあった。
もう立たないでくれと、そんな気持ちだけが。
だがそんなアルビオの思いに反するように、
「人を、勝ってに殺すんじゃ、ねぇよ…。俺はまだ、やれる」
そして-
「俺は、まだ死ねないんだよ!!」
-涼風翔也は、再び立ち上がった-
-クソッ、体がボロボロで力が上手く入らねぇや…。
でも、まだこうして立ち上がれるんだ。まだ、みんなを守れるんだ。
そして-
「お前がどんな思いで力を求めたのかも、どんな思いで俺の兄貴を殺したのかも俺にはわかんねぇし、それを許すつもりもねぇ-」
コイツを-
「-でも、お前がそこでまだ人を思えるようなヤツだってなら、それなのにこんな事しかできないってんなら-」
-救えるのだから
「-俺がお前を止めてやる!!」
翔也はそう叫ぶと、アルビオは辛さを無理やりに隠した顔で、
「止めれるか?この俺を…」
「ああ、何が何でもお前を止める!!」
そう宣言すると、翔也は無理やりに体に力を入れ、アルビオを止める為に駆け出した-
最初のコメントを投稿しよう!