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(まだ30分位しか経ってねーし、あそこら辺にいんだろ)
和也を乗せたリトルカブは新聞配達同様のエンジン音を明け方の街に響かせ、雨の中を走り抜けた。
タバコ屋に到着した和也は「自分はタバコを買いに来ただけだ」と言う様な、なに食わぬ顔でかき集めた小銭をタバコの自販機へと流し込み、お決まりのキャビンマイルドのボタンを押した。
そして雨降りにも関わらずタバコに火をつけ、またしても何食わぬ素ぶりでリトルカブにまたがり辺りを少し見回した。
しかし、どこにも由美の姿は見当たらなかった。
和也はタバコ屋の斜め向かいにあるバイト先へと顔を出した。
和也「うぃ~っす…」
店長「あらっ、どーしたの戻ってきて⁉あたしが足らなくなったの⁉」
和也「それもあるんすけど…さっきの子店の前通らなかったですか…??」
店長「うん通った通った‼私がゴミ捨てで外でた時ハゲ散らかしたいかにもってゆーオッサンと駅裏の方歩いてったわよ‼」
和也「いかにもって…?」
店長「なにわかってる様なこと聞いてくんのよ❤駅裏なんてホテルしかないでしょ❤…ちょっ…」
和也は会話を途中で終わらせるかの様に軽く頭を下げ店の前にエンジンをかけたまま停めていたリトルカブを駅裏へと急がせた。
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