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「はぁ~」
俺は、やれやれといった感じでため息をついてやった。
「分かってないねぇセンコウ君?」
「む……一体何がだ?」
相変わらずカパカパやりながらいぶかしむセンコウに、俺は鼻高く演説してやる。
「いいか?俺は今までこんな有り得ないような世界に憧れていたんだ。普通じゃ非現実的な、まるで厨二乙といわれるような世界にな。」
「…………………。」
センコウは黙って俺の話を聞いている。
「まぁ本来なら、尊敬すべき世界一カッコイ厨二病患者、狂気のマッドサイエンティストに習って、世界を平和などではなく混沌へと導くべきなのだが…まぁ頼まれた世界だ。全力を尽くそう。」
若干厨二が入ってきてるが、とりあえず楽しいので続ける。
「憧れの世界を提供してくれているんだ、嬉しいじゃないか。それにアンタがこの世界で何やらやらせようとしている。だが俺にとってそれはただのギブアンドテイクだ。」
調子良く言葉を紡ぎ出す。
「だーかーら、気にすんな。世界の危機?謎の陰謀?ドーンと来いだ。俺は今スーゲー満足なんだ。だから細かいことはいい、さっさと始めようぜ、センコウさんよ」
いい感じに喋って、まるで先輩が後輩に絡むように締め括った。
「…………………………。」
何やら考え込むかのように(なんとなくな、なんとなく)黙るセンコウだったが、少し経って微かに喋った。
「お前の言ってることが本心なら………多分、この世界はお前を苦しめるだろうな……」
「へ?何だって?」
よく聞き取れなかった俺の返答を無視するかのように更にセンコウは叫んだ。
「実戦あるのみか……ケイスケ!!飛ぶぞ!!」
「えちょまっっ!!!!」
視界が真っ白になった。
唐突過ぎるね、何もかも。
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