†退屈な毎日と変わりゆく日常†

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 旧校舎の入り口に着いた二人は校舎を見上げていた。  まだ現役で使えそうな外装だが内部はけっこうガタがきており、床や壁などは、所々穴が空いていて気をつけて進まなければ怪我をしてしまいそうなほど脆い。  二人はゴクリと生唾を飲み、意を決して旧後者へと足を踏み入れていった。  ギィと錆びた音を出しながら扉が開かれた。ホコリが舞い視界が悪くなる。しかし隙間から射し込む光で少しはましになった。  ホコリを手で払いながら2人は恐る恐る進み始めた。  小唄は少しプルプル震えながら指先でチョンと七羽の袖を掴んだ。七羽はそれに気づき、優しく小唄の手を握る。 「大丈夫、大丈夫だよ小唄。私が小唄のそばにいるから」  七羽の言葉を聞いて安心したのか小唄の震えが止まった。 「うん、……ありがと七羽」  実を言うと七羽も怖かったのだが、小唄の前では弱い自分を見せたくないと思い少し強がっていた。  小唄はそんな七羽の強がりを見抜いていた。自分も怖いのに優しく包んでくれた七羽に感謝と嬉しさを感じて握られた手をギュッと握り返した。  階段へと辿り着いた二人。階段を登ろうとふと階段を見ると黒猫が頂上に座っていた。  こちらを見下すように見下ろす黒猫は七羽を誘っているようにも感じられた。 「どうしたの七羽、早く登ろう?」 「え、あ、あぁ、うん……そうだね」  小唄には見えてないのかな……  ――リン  黒猫は七羽たちが登り始めると首元にある鈴を微かに鳴らし、静かにその場から立ち去っていった。  なんだったんだろう……住みついた猫かな?  今にも崩れそうなほど脆い階段をソロリソロリと登り、やっと二階へ辿り着いた。  二階も一階と同じくボロボロで、穴に落ちたら一階へと転落してしまう。そのため、一階以上に気をつけて歩かなければならなかった。 「小唄、気をつけて」 「う、うん……」  七羽と小唄は恐れながらも他の部屋を少し探索し、やっとの思いでこの階の最深部である旧美術室に辿り着くことができた。  2人は少し間を空けて意を決したように扉を開いた。 『……し、失礼しま~す』  意外なことに、部屋は片付いていてあまりボロくはなかった。床もちゃんとしていて、この部屋だけ別の空間にいるような錯覚に捕らわれる。
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