†退屈な毎日と変わりゆく日常†

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「けっこう綺麗にされてるね」  小唄は教室をキョロキョロと見回して感嘆の声を上げた。七羽も意外だったらしく、言葉には出さないが驚いていた。  流石に美術室だけはあって、白い彫刻や油絵などが所狭しと飾ってある。  色々と見て回っていると七羽は魔法陣? のようなものが表紙に描かれている本を発見した。  興味が七羽の心を支配し、躊躇いもなく本を開いた。  目次は無く、1頁目にはこう書かれていた。 『――白き翼を持つ者が世界の運命を握った。世界は崩壊を辿る運命を背負った。――しかし世界が運命を握られた時、異世界より黒き翼を持つ者が舞い降りる。』  ファンタジーかな? なんだか面白そう。  七羽はワクワクしながら次の頁を捲る。 『――白き炎が世界を崩壊させる時、黒き雷が世界を救うだろう』  次の頁は白紙だった。その次の頁を開くと絵が描かれていた。  燃え盛る大地の中心には白き炎と白き翼を持つ人らしきものが描かれ、それから逃げる人々が描かれていた。  次の頁を捲った七羽は静止してしまった。そこには黒き翼を持つ者が空から降りてくる絵が描かれていた。  あまりにも綺麗で、それでいて優しいその絵に心を奪われた。 「ふわぁ、この絵とても綺麗だねぇ!」  小唄の声で七羽は我に返った。いつの間にか小唄の顔が七羽の真横にあった。 「この本、何だろう。小説でもないし……小唄は何だと思う?」 「ん~、童話? わかんないや……でも、多分誰も読まないし、貰っていく?」 「良いのかなぁ……まぁ、いっか」  七羽は少し悩んで別に良いかと思いカバンに入れた。 「七羽、小唄ちょっとトイレに行ってくるね」 「うん、わかった、行っておいで」  小唄は少し急いだ様子で出て行った。  そんなに我慢してたのか……  七羽は走って行く小唄を見守りながらそう思っていた。  美術室を改めて見渡してみる。  窓から射し込む木漏れ日が少しだけ眩しい。  七羽より大きなものに布が被されてるのがふと目に留まった。 「なんだろう……」  興味本位で布をめくってみる。
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