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『えっ?』っと三人が声を上げる。
意味が分からずしばし動きが止まるが、いち早く復活したザッツが言った。
「それはいけねえ嬢ちゃん。俺は人の手柄を横取りするつもりはないんだ。
ギルドには上手く言っとくから、報酬は嬢ちゃんが・・・」
「・・・・・・条件が、ある」
「・・・・・・ほうっ」
ザッツはそう言うと、海の言葉の続きを待った。彼の人生経験が決して彼女を見くびるなと警鐘を鳴らしたのだ。
「・・・・・・・・・・・・でも、眠いから、お昼寝の後」
ジル、ザッツ、村長の三人は綺麗にずっこけた。
海のお昼寝が終わり、ジルの宿屋でザッツと向かい合わせで食事を取っていた。
「・・・つまり、俺にこの世界の水先案内人になれってか」
その言葉に、黒狼の肉が入ったシチューを口に運びながら頷く。
ザッツには自分の置かれた状況を話してあった。
当然、始めは信じていなかったザッツだが、海の持ち物・・・特に携帯電話・・・を見せて一通り説明すると、半信半疑ながら納得した。
「手柄寄越す代わりに王都に連れてけか・・・・・・若いくせに世慣れてやがる」
そういってエールを口に運んだ。
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