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「衣裳の奇抜さもさることながら、使われている生地も・・・」
眺めたり触って手触りを確かめたり、職人としての性だろうかなかなか海を離さない。
「ねぇねぇ、その服よかったら譲ってくれない? 銀貨5枚・・・ううん、8枚だしてもいいわ!」
「・・・・・・お断り」
「そう言わずにね? なんなら銀貨10枚に代わりの服を好きに選んでいいから!」
「・・・・・・あとよろ」
なおも食い下がるベルの手をスルッと抜けて、後をザッツに押し付けて店外へ。
「ちょ、ちょっと待ってよ~!」
「お前が待てっ! 客と店ほっといて何処に行く気だ!?」
騒がしい二人を置いて出た海は、再び活気のある通りに出た。
賑わいで溢れる人だかりに、傍目から見るとまず分からないが海のテンションも上がってくる。
こう見えても彼女はお祭り好きなのだ。
ドンッ!
ザッツが出てくれるまでその辺の散策で、と思ったところで背中に重い衝撃が走り前のめりに倒れてしまった。
顔だけ向けると、小包を抱えた男が人を掻き分けながら走り去って行く所だった。
どうやら突き飛ばされたらしい。
(・・・・・・むかっ)
「おい、お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
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