王都への旅路

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「みなさん、ここで何があったかわかる方が居れば、お話を伺いたいのですが…」 どうやら男は引ったくりか何かで、逃走中に自分と激突したようだと海は一人納得する。 「……えーっと、君が本当に捕まえたのかい?」 考え事をしている間に周りの人から経緯を聞いたらしく、衛士が思いっきり疑いの目で見ながら確認を取ってきた。 「・・・・・・いちげき・・・」 グッとサムズアップして見せると、なんだか衛士はますます渋い顔となった。 「・・・分かりました、お名前を宜しいですか?」 「・・・・・・ウミ、ハルノ・・・」 「それではウミさん、これから兵舎で詳しいお話をお聞きしたいのですが・・・」 「・・・・・・人、待たせてるから・・・」 本音はめんどい、なのだが。 歩きだす海を衛士が引き留めようとして、 「ちょ、ちょっと待って・・・」 ダンッ! 海の全力の跳躍、再び屋根の上へ姿を消す。 それを目で追いきれた者はこの場にはおらず・・・ 突然目の前で消えてしまった少女に、衛士と周囲の人々はポカンと顔を見合わせた。
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