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「あはははは、正直ね~っ? でも私、猫被りは上手いのよ?」
「加えて何事も優秀なのが問題でもあるのですが……」
ヴォルプスに組み敷かれたままのアレイディアが、深く深く年季を感じさせる溜め息をつく。
表情に呆れを加えながらシルフィオナの説明は続く。
「良くも悪く有名なんです、フォーリナリア様は。
幼少の頃から神童を言われるほど才能を発揮し、作法や勉学だけでなく剣や戦術にも手を出して修めていったんです。
十代を後半に迎える頃には貴族・平民・犯罪者を問わず、気に入った者を引き入れ私設の部隊を組織したほどで……」
「……自由過ぎるね」
お前が言うな!……っと海を知る者なら突っ込むかもしれないが、生憎シルフィオナは海のイエスマンだし、ガルフは客分に対して突っ込みを入れるような真似はしない。
「水面下で巧妙に事を進めた結果、国王や家臣が気が付いた時には無視出来ないほどになっていたとか。
独自の情報源や特殊技能を持つ者たちが居て、組織を解体するのが勿体無い上に今では進んで志願する者までいるそうです……先程の騎士の様に」
「あの人は?
……あ、ヴォルプス、どいて」
海はアレイディアを指しながらヴォルプスに離れるよう指示。解放されたアレイディアは海に向かって深く一礼する。
「先程は失礼致しました、改めて自己紹介しましょう。
自分の名はアレイディア・ザーラス、シルフィオナ嬢と同じく四大貴族に数えられるものです。
……とは言っても戦果で成り上がった無骨者の一族ゆえ、他の貴族のような品位はありませんが。
騎士団に所属しておりますが、姫様のお目付け役を仰せつかっているのでこの部隊の副長も兼任しております。以後お見知りおきを」
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